夏の養生法 5月に入り、少しずつ夏を感じさせる季節になりました。 東洋医学最古の医学書「黄帝内経 素問」には、四季ごとの養生法が記載されています。 これによると、5月8日(立夏)から8月8日(立秋)までの夏の3か月を”蕃秀(ばんしゅう)”といい、 自然界では、草木が成長し、花咲き実り、いっぱいに開いている状態であり、人間の一生で 例えると青年期にあたります。人間の体も自然界同様に開き、陽気を発散させる季節です。 この季節は、陽気や熱を皮膚を通して外に「発散」させることが特徴になり、「発散」させること が夏の養生法になると書かれています。 夏の養生法の発散とは、日の出...
甲状腺疾患と不妊 甲状腺とは、喉仏の下にある蝶のような形をした臓器で、甲状腺ホルモンが合成・分泌されています。 甲状腺ホルモンは、成長や神経発達、エネルギー産生、糖たんぱく、脂質代謝、循環器などへ作用し、 生命を維持するのに欠かせない男女問わず分泌されるホルモンです。 この甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気が「甲状腺機能亢進症」で、代表的な病気を「バセドウ病」 といいます。 一方、甲状腺ホルモンが不足してしまう病気が「甲状腺機能低下症」で、代表的な病気を「橋本病」と いいます。 どちらも、本来自分の身体を守るはずの免疫が、自信の細胞や組織を「異物」とみなして自己抗体を作る ことで、細胞や...
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) 当院の患者様の中にも多くみられる婦人科疾患の一つに、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)があります。 PCOSとは、卵巣の白膜が肥厚するため、卵巣の中にたくさんできた卵胞の発育が遅く、ある程度の大きさにはなるものの排卵されにくく、卵巣内に多数の卵胞がたまってしまう疾患で、月経異常や無排卵月経などを引きおこし、不妊の原因となるものです。 症状としては、月経異常(月経不順、無月経、無排卵月経など)、男性化徴候(多毛、にきび、声の低音化など)、肥満、卵巣の白膜の肥厚、無排卵による不妊などが挙げられます。 西洋医学的な治療法としては、排卵誘発剤を用いた治療やホルモン療法が行...
満開だった桜にも葉が出始め春も本番といったところですが、まだまだ気温の変動が大きい時期でもあります。気温の変動は思いのほか体に負担をもたらします。また、春は新年度の始まりでもあり新しい環境に何かとストレスもたまりがち。毎日の寒暖差やストレスに体は順応しようと自律神経はフル活動します。一日の中で少しでもリラックスする時間を持つようにしたいものですね。 とは言うものの、なかなか思うようにいかないのが現実ですよね。 近年「腸は第2の脳」と言われていることをご存知ですか?緊張や精神的ストレスで下痢や便秘を経験した人も多いのではないでしょうか。このように腸と脳は自律神経を通して密接な関係にあるようです...
水分補給の重要性 体は60%が水分でできています。 毎日しっかり水分をとり排泄をしないと、体の中の水に老廃物が溜まってしまいます。 1日の水分摂取量は 1.5L~2L、トイレは1日7~8回が一般的とされています。 水分量が少なくなると、血液の粘度が高くなり、血管がつまりやすく血の巡りも悪くなります。 血の巡りが悪くなるとホルモンバランスも崩れてしまうため、月経異常をはじめ、不妊症などの 疾患にも繋がってしまいます。 一回の尿量が少ないのも、体には良くないとされています。 尿は体の老廃物を出してくれる役割があるので、尿量が減ると 体内の水分量が多くなり 代謝障害を起こし、むくみ、だるさ、...
不妊症と陽気 当鍼灸院でも、陽気を高めるためのツボを刺激しています。 では、なぜ陽気を高める事が必要なのでしょうか? 「あの人陽気だね」なんて言葉を使います。 陽気でいるという事は、その時はハイ状態になっているから気づきませんが、とてもエネルギーを使っています。 陽気とは身体を動かすエネルギーなのです。 陽気が不足しますと、身体の中もうまく動かず、卵を育てる、排卵、内膜を厚くするなどに影響がでてしまいます。 また、もう一人分命を身体の中で作っていくので、いつも以上に陽気が必要になります。 陽気を低下させない為には、 ① 睡眠時間を長くする ② 疲れを溜めない ③ 冷たい飲食物を沢山取らな...
質の良い睡眠は体質改善を図るにあたって、大変重要なポイントとなっています。 睡眠の質を低下させる要因はいくつかありますが、今回は睡眠時に尿意を催す場合についてお話しします。 就寝中に尿意を催すのはたいていの場合が身体が冷えている時です。 寒いとトイレが近くなる理由には、汗をかかないことが挙げられます。寒い日でも必要最低限の水分を取りますし、 食べ物からも水分は摂取されます。ここで、摂取した水分と呼吸や汗で出て行った水分の差(体内に残された 水分)が、尿として排泄されます。寒い日の方が汗として蒸発する水分が暑い日より少ないため、摂取した水分 と汗として出て行った水分の差が大きくなり(体内に残さ...
「冷えのぼせ」について 冷え症でお悩みの女性も多いかと思いますが、今回は冷えの症状に加えのぼせの症状も同時にみられる、 「冷えのぼせ」についてお話ししたいと思います。 手足は冷えているのに、顔や頭(上半身)だけがぼーっと熱くなる症状のことを「冷えのぼせ」といいます。 更年期症状と似ていますが、「冷えのぼせ」はどの年代にも起こります。 更年期症状はホルモンバランスの乱れに起因するものですが、「冷えのぼせ」は冷え症が悪化して起こる ものです。 冷えが起こると血流が悪くなり、身体の末端の血液やリンパがうっ滞し、むくみが生じます。 一方で、本能的に身体の末端の温度を下げてでも頭部の温度を保とうす...
月経前症候群(PMS)について 月経前症候群 PMSとは、Pre-menstrual Syndromeの略で、月経の始まる1~2週間前ぐらいから、 心や体に不快な症状が現れ、月経開始とともにその症状が消失するものを言います。 心の症状では、イライラ怒りっぽくなったり、気分が落ち込む、集中力の低下などがあります。 体の症状では、乳房の張り、むくみ、肩こり、便秘、下腹部痛などがあります。 これらの症状には個人差があり、多少誰にでもみられる症状です。この不快な症状は、排卵後の黄体 ホルモンの急激な増減が原因のひとつと考えられており、日常生活に支障をきたさない程度の症状に おいては、過剰に心配し過...
立春を迎えたものの、まだまだ春とは遠いお天気が続いています。 春は動物が冬眠から目覚め、植物は新芽をだし成長を始める季節です。 外がどんなに真冬の寒さでも、些細な光の変化だけでも身体は反応し、少しずつ春に対応出来るように働き 始めます。同じように人間の身体も活発になるため、卵巣や子宮の働きも活発になり、特に妊娠しやすい季節 でもあります。その一方、冬にぐっと抑えていたものが春になり緩んでくると同時に出てくるため、油断をすると 活発になりすぎて気血が昇りすぎてしまうことがあります。 特に2月は春の症状、例えばめまい・疲れ目、気分の高揚、新陳代謝が活発になって起こる肌荒れ、またイラ イラしたり...
リンパの働きとリンパマッサージ 人体にはリンパ管という細かい菅が網の目のように張り巡らされています。その中を流れているのが リンパ液という無色透明な液体です。 東洋医学においても、リンパ液など血液以外の体内の水分のことを「津液」といい、血液とは区別して 考えられています。 リンパ液は、血管からしみ出た血漿がリンパ管に入り込んだもので、リンパ管を流れた後再び血管に入り、 心臓・動脈を流れた後に毛細血管からしみ出し、またリンパ管に入り込むという循環を繰り返しています。 血液により運ばれた栄養素はリンパ管に転送され、リンパ液により各細胞に届けられます。また、各細胞が 新陳代謝により出した老廃物もリ...
『うつ病と鍼灸』 こんにちは。迎春堂鍼灸治療院です。 ここ数年、うつ病患者の急増が問題になっています。うつによる自殺者が増えたりと社会問題にもなっています。 うつという病気は、軽度から重度、病気による心因など幅広く、予備群もまだまだ多くいるとされています。 しかし、治療は難しく、抗うつ薬に一度依存してしまうと、不眠や、原因不明の体調不良などの副作用が出てきてしまいます。 鍼灸では、このうつ病の原因でもある自律神経を整える作用があるため、予防や治療に最適だと考えています。 当院の不妊治療や妊婦さんの患者さんも不安やストレスや疲労は大敵ですが、お医者さんも薬はあまり使えません 。しかし、鍼灸なら...
「ストレスと呼吸」 こんにちは 迎春堂鍼灸治療院です ストレス社会といわれて久しいですが、そんなストレス社会に生きる私たちは、とかく呼吸が浅くなりがちです。 呼吸が浅いということは取り込む酸素量が少なく、体内のガス交換が十分にできない状態です。 すると体の隅々にまで新鮮な酸素が行きわたらなくなり血液も末端にまで循環しづらくなります。 血流が悪くなれば冷えに繋がってしまいますね。 そこで一日の中で何回か‘深い呼吸=腹式呼吸’を意識して行うことをお勧めします。鼻から大きく 息を吸って へそ下(丹田)までその息を降ろすイメージで下腹部を膨らませます。そして長くゆっくり...
「無月経」 無月経には2種類あります。 最初の月経が訪れない「原発性無月経」と、 以前は月経があったけれど現在はなくなってしまった「続発性無月経」があります。 続発性無月経は、以前は継続して訪れていた月経が、何らかの理由で3ヶ月以上起きなくなった症状をいいます。 妊娠や授乳、閉経による無月経も続発性無月経に含まれますが、これらは「生理的無月経」と呼ばれ、 治療の対象からは外されます。 原発性無月経は、満18歳を過ぎても初潮が訪れないときに診断されます。 原発性無月経は、膣欠損や子宮欠損などが原因で起こります。 続発性無月経は、精神的なストレス、アスリートのような過度な運動、過食や拒食...
こんにちは、迎春堂鍼灸院です。寒さも本格的になってきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか? 今日は意外にも年末年始の過ごし方に潜む不妊治療のリスクについてお話ししたいと思います。 大晦日やお正月、皆さんはどこで過ごされる予定でしょうか。ご家族だけでまったりされる方もいれば 田舎の実家に帰省されると言う方もいらっしゃると思います。正月なんて関係ない!仕事です!という方も いらっしゃるでしょうが忘年会や新年会に参加されることと思います。 そこで妊娠の妨げになるリスクを3つご紹介します。 【年末年始に潜む誘惑】 ①飲酒―飲み会の席に参加されたり、またたまの正月だから…とお酒の飲...
12月25日 依存性の高い甘いもの 身体に良くない食べ物とわかっていても止められないもの、無性に欲してしまうもの、ありますよね。 その原因の一つとして、栄養不足が関係しているそうです。 今回は特に依存性の高い甘いものに関してお話しします。 無性に甘いものが食べたい時に不足が考えられる栄養素は •クロム •リン •硫黄 •トリプトファン などが挙げられます。 これらを多く含む食品は ブロッコリー、青のり、乾燥ひじき、乾燥パセリ、シナモンなど 【リン】 煮干、スルメ、しらす干し、いわし、干し海老、高野豆腐、玄米など 【硫黄】 卵、チーズ、魚介類、肉類、...
こんにちは、迎春堂鍼灸院です。 12月に入り、本格的な寒さ対策をする時期になりましたね。 やはり気になるのは手先・足先などの末端の冷えかと思います。 いくら着込んで保温をしても満足に暖まらず、時間が経つとすぐに戻ってしまうことが少なくありません。 多くの女性の悩みですね。 当院に訪れる患者の多くも、触れると足先がヒヤリと冷たい状態の方がみられます。 末端の冷えは骨盤内の血の巡りにも影響し、腹部や腰周りも冷えやすくなってしまいます。 (東洋医学的には腎や脾の機能低下により起こるものとされ、それによる血行障害を「瘀血」と言います) 冷えた状態が続くと生理痛も悪化しやすく、各婦人科疾患の治療の妨...
こんにちは、迎春堂鍼灸院です。 冬の冷たい空気に寒さを感じる季節になりました。冬は空気が乾燥しているため、ウイルスが 増殖しやすく、風邪などをひきやすい季節です。 風邪(かぜ)は、東洋医学の風邪(ふうじゃ)が由来で、冷たい「風」によって体が病魔「邪」に 侵される事をいいます。 この風邪(ふうじゃ)が侵入してくるところ(ツボ)が首にあると言われています。外出するときは、 首まわりを温めて、冷やさないようにすることが風邪の侵入を防ぐ簡単な方法になります。 特に、妊娠待ちをされている方は、風邪薬などの服用には神経を使う方も多いと思います。 そして、風邪は、採卵周期や移植周期などの影響にも少なから...
こんにちは、迎春堂鍼灸院です。 しっかりと睡眠をとる事は、妊娠しやすい体質を作るうえで重要な要素と言われています。 ではなぜ、睡眠不足になると妊娠力の低下を招いてしまうのでしょうか。 その理由の一つが「活性酸素」の発生です。 睡眠不足になると、体内で活性酸素という物質が増加します。 活性酸素は体内で発生すると、周囲の細胞を攻撃し傷つけてしまう性質があります。 睡眠不足により活性酸素の発生が増加すると、妊娠にとって重要な卵子も含め体中の 細胞が傷つけられてしまうため、結果的に妊娠しづらい体質になってしまいます。 もう一つの理由は「ホルモンバランスの乱れ」です。 睡眠中は様々なホルモン分泌により体...