東洋医学(中医学)における不妊症

中医学における不妊症診断 

古代から受け継がれている中国医学の中で最も経験的で有効な診断法です。
戦国時期の易経と黄帝内経医書には、人体の生理・五臓・経絡・疾病・診断などが記載されており、産婦人科分野の妊娠について十二論、難産について四論、産後のついて二十五論など、詳しく記述されています。

婦人科疾患において中医学の診断は独特です。その中で四診法についてご説明します。

<四診法-その1:問診>
古書に十の質問が記載されているほど四診法の中で最重要視されています。

<四診法-その2:望診>
「神色形態」といい全身を観察します。この中で「舌」の状態から五臓の気血盛衰を判断し、女性の身体に重要な「血」の状態を把握できます。

<四診法-その3:聞診>
たとえば患者さまの声色などにより身体の状態を判断していきます。

<四診法-その4:切診>

・「脈診」と言い、脈の状態で五臓六腑の機能の強弱がわかります。
・「腹診」と言い、お腹の硬さ・冷たさ・圧痛などで内臓機能の状態がわかります。

この四診法をしたうえで、個々の身体の状態とを合わせて不妊の原因や不妊の体質となる問題を究明し診断していきます。そして個人個人の状況や体質に合わせながら不妊鍼灸治療に必要なツボや施術方法を選択していきます。

治療方法の基本は、生理周期の4つの周期(生理期・卵胞期・排卵期・黄体期)によって変化する、ホルモン分泌と気血の巡りをそれぞれ調整していきます。

生理周期は中医学では、「陰の時期」と「陽の時期」とに分けて考えられます。
生理が始まってから卵胞期までが「陰の時期」、排卵後から黄体期までが「陽の時期」です。

中医学的にそれぞれの周期に合った治療法で、各周期の特性を活かしていきます。
例えば生理期、はがれおちた子宮内膜と古い血と一緒に老廃物をきちんと排出することで次の卵胞期において卵の育成や質の向上が望めます。排卵から黄体期にかけては、受精卵が着床しやすいように陽の気を高めていきます。

日本人女性の不妊原因の多くは、中医学的にみると「陽気不足・生殖に関わる腎機能の低下・冷え…」などがあげられます。
骨盤内深部の冷えが長期間続くと気血の巡りが悪くなり瘀血という状態が起こりやすくなります。
その結果、子宮卵巣に新鮮な血液が不足し卵の発育が悪くなったり、子宮内膜が厚くならなくなったりと、女性生殖器のトラブルとともに不妊の原因となります。
また、ストレスが原因で心脳を疲れさせると身体全体の機能が低下し、ホルモンバランスの乱れとともに月経周期も乱れてきます。加えてストレスは肝血貯蔵能力に影響し、気滞という気の流れが悪くなる状態となり、疲れ易さや胸の張り感・イライラなどの症状を引き起こします。

また不妊体質のみならず、健康の源である大切な機能として「脾胃の働き」があります。
脾胃は、気・血・津液を生成する大切な場所であり、代謝機能や消化吸収機能に関わってきます。

代謝機能が低下すると、体中に余分な水分や老廃物がたまりやすくなります。それにより身体が重だるい、月経量が少ない、むくみ、太り気味、卵巣トラブル…などといった症状があらわれるのです。
また、消化吸収機能が低下するとエネルギー不足となり「気血虚」の状態となります。
これにより元気がない、月経遅れ、月経量少ない、無月経、低血圧、立ちくらみ、眠りが浅い…などといった症状があらわれます。


中医学における不妊鍼灸治療方針

『五臓六腑』という言葉はほとんどの方が耳にしたことがあると思います。
肝・心・脾・肺・腎の5つの臓、胆・小腸・胃・大腸・膀胱、これに三焦を加えた6つの腑を指します。
(五臓も、心包を加えた「六臓」にもなります)

現代医学でいう各臓器と似た働きもありますが、中医学でいう五臓六腑はそれぞれ特有の働きを持って、身体の生理機能を支えているのです。
また、腎の働きが弱ると肝も弱るというように、各臓腑がお互いに影響し合う、そんな関係もあります。


画像参照:『望面診病図解』遼寧科学技術出版社

中医学では、妊娠と関係があるのは肝・心・脾・腎、そして血のバランスが大切と考えられています。


腎、肝、脾、そして脳それぞれの働きとはどんなものでしょう?  
  

「腎」は単に腎臓を指しているのではなく、誕生・成長・生殖・老化に至る一生の身体を調整している総称です。

これにホルモンも含まれます。
「腎」には生命のエネルギーが宿ると考えられており、出生時に親からもらうエ
ネルギーを中医学では「先天の気」と呼んでいます。
(「肺」の呼吸作用と「胃」の消化吸収作用によるエネルギー=「後天の気」)
生殖活動をつかさどる「腎」は妊娠・出産に大事な役割を果たしています。

不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?


腎の機能が弱く、腎精が不足したり、陽気・陰液が不足すると、女性では胞宮(子宮)を養うことが出来ず、男性では精液を産生出来ないため、不妊を引き起こしてしまいます。



「肝」は、これも単に肝臓を指しているのではなく、体内に必要な血液を溜めておいたり、精神や情志活動・消化・血行や代謝機能をコントロールする働きの総称です。

「肝」の働きによって体内の血液の流れも順調に保たれ、各臓器や器官に栄養が行き渡り、感情も安定します。妊娠するのに不可欠な器官である子宮や卵巣も、もちろん栄養たっぷりで新鮮な血液が必要とします。


不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?  


 

精神的ストレス・悩み・怒り・緊張などにより、肝気が滞ってスムーズに流れなくなってしまい、女性では気血が滞って胞宮(子宮)が栄養を得られない、男性では腎精の生化が失調(つまり精子不足)となり、不妊をきたす状態となります。


「脾」には、食べ物の消化吸収を行う胃や小腸の働きを助ける他、体に必要な栄養物(後天の精)を全身に供給
する働きがあります。また、体内の水分の吸収と排泄を促進する働きがあり、「気・血・津液」全体の補充や運行
に欠かせません。体内に溜まった余分な痰湿=老廃物を体外に出す、つまり代謝に大きく関係します。

不妊や婦人科の悩みのある方は以下のような症状がありませんか?


脂っこいもの・味の濃いもの・甘いものの食べ過ぎなどで、脾胃の気が滞り、栄養の吸収や水分の循環・排泄がうまくいかなくなり、痰湿つまり老廃物が体内にたまります。

女性の場合は胞宮(子宮や卵巣)、男性なら精室といった生殖器の気血の巡りを妨げることになり、結果として不妊を引き起こす原因になります。


中医学の考え方では、脳の主な生理機能は精神思推を司る、つまり精神情緒活動の中枢とされます。
また、この働きは腎による精の生成や心から送られる血液が不可欠です。また、脳から腎や心へ与える影響も無視できません。

腎は左右に2個ありますが、左腎は水(腎水)を管理、右腎は「命門の火」を管理すると考えられています。
「命門の火」は、五臓六腑の機能活動と、成長発育、および生殖のためのエネルギーとなります。 

 
また、腎は骨と髄の成長発育、脳とも深い関係にあります。
「腎は骨髄を生ず」「脳は髄の海」という古典の
言葉がありますが、これは腎が五臓六腑のエネルギーの源であり、骨や骨髄、脳の働きにも大きく関わっているということを表しています。

心は血液を循環させ、水分や栄養を身体全体に行き渡らせる働きがあります。また、「心は神を蔵す」という
言葉の通り、人間の思考・精神活動を司ります。

 


脳は全身の生理機能をコントロールする中枢です。

強いストレスなどダメージを受けると、身体の各機関の働きにも影響が出ます。

医学でいう経絡は身体内部で各臓腑につながっており、その臓腑から体表面に現れています。
そのうち背の中心を通る『督脈』、前の中心を通る『任脈』が婦人科のトラブルと特に深く関係があります。

 

画像参照:『鍼灸学』上海科学技術出版社


督脈は肛門から始まり、お尻から背、首、頭部、額と中心を通って鼻の下まで、一方任脈は会陰から始まり、
下腹部、胸、下唇の下まで伸びています。
この2本とも陰部から始まり、頭部までつながっています。
つまり、
脳の働きが鈍ると、胞宮(子宮)にも影響が表れるのです。
西洋医学でいえば、脳が何らかのストレスを受け
ることで、脳-下垂体-卵巣のコントロール系が崩れ、ホルモンバランスにも影響が出ることになり、結果として婦人科のお悩みにつながっていきます。

子宮や卵巣・精巣といった生殖器にはきれいで栄養たっぷりなサラサラ血液が不可欠ですが、これは身体の血液循環を正常に保つ、女性では生理周期などがとても重要です。

生理周期を乱す原因には、西洋医学的でいうストレス、ホルモンバランスの異常、自律神経失調症、冷え、肩こりなどの血行不良が挙げられます。しかし、現代社会を過ごす中で、何らかのストレスにさらされて体調を崩す人は少なくないでしょう。

そこで、
「補腎」 (腎機能を助ける)
「疏肝」 (肝機能を高めて、肝気を疏通させる)
「健脾」 (脾機能を高めて、消化器系の機能を健全な状態に戻す)
「健脳」 (脳を活性化させる)
この4つを当院の主な治療方針としております。


中医学における不妊鍼灸治療方法

五臓・子宮卵巣をめぐる経絡ツボによる全身調整で生殖機能をUP!

五臓(心・肝・脾・肺・腎)や子宮卵巣など全身をめぐる「気・血・津液」を調整することにより、全身のエネルギーを高め身体のすみずみまで元気にし、五臓の経絡から女性特有の経絡へ「気・血・津液」を流すことにより生殖機能をUPさせます。
 


女性のお腹に特有な経絡ツボを直接アプローチ!

女性の身体には生理や妊娠に重要な経絡があります。この経絡は五臓に繋がっていますので五臓のエネルギーをUPさせるとともに相乗効果でこの女性特有な経絡やツボを活性化させることにより、子宮・ 卵巣へ新鮮な栄養分を与えることとなります。
その結果、着床妊娠、無事な出産へと導くことができます。

脳と心の経絡アプローチでホルモンバランス調整!

脳と心へアプローチする経絡もあります。精神的に疲れていると脳にも影響を及ぼします。
脳にある視床下部-下垂体系はホルモンコントロールをしている大切な部分ですが、ストレスに敏感な場所なので精 神的な疲れはホルモンバランスを乱してしまいます。生理や妊娠にはホルモンバランスはとても重要ですので、心と脳も調整していきます。



中医学における不妊鍼灸効果


長年の実績をもつ女性中医師が、個人個人の体質に合わせお話しを聞きながらきめ細やかな鍼灸治を行います。


不妊鍼灸は五臓と女性特有の経絡や最も有効なツボを選択し、骨盤内の子宮・卵巣に対する循環を良好にすることにより、排卵障害・高齢不妊・冷え性・不眠・自律神経失調やホルモンバランスの崩れなど不妊に伴うストレスを解消します。

また中国伝統療法では、鍼灸・経絡マッサージ・吸玉(カッピング)・漢方温熱パックなどを用いて、子宮卵巣・下肢・腰部などを温めながら全身の「気・血・津液」の流れを改善していきます。

体質改善の効果
・ 生理周期の改善
・ 自律神経のバランス調整
・ 冷えやむくみの改善
・ 不眠やストレス解消
・ 自己の治癒力や免疫力の向上
・ 滞った老廃物の除去

不妊に関する効果
・ 骨盤内の血流改善(子宮・卵巣・卵管への血流促進)
・ ホルモン剤の副作用の軽減
・ 子宮や卵巣機能を若返らせる
・ 着床しやすい体づくり
・ ホルモンバランスの調整
・ 不妊によるストレスの解消
・ 生理周期の改善
  

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